DX事例シリーズ-株式会社トプコンのデジタルトランスフォーメーション(DX)

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ITテクニック

 好評でしたので前回のDX事例シリーズ(株式会社大林組編)の続編として、今回は株式会社大林組のDX事例について見ていきたいと思います。

 DX(デジタルトランスフォーメーション)は現代のビジネスに不可欠な要素ですが、その取り組み方や進捗状況は企業によって大きく異なります。多くの企業がDXを推進していますが、中にはコスト意識から業務効率化にとどまり、本来の目的である新たな価値創造までには至っていない企業も少なくありません。

 一方で、DXを本格的に推進する企業の取り組みを見ると、明らかなレベル差を感じざるを得ません。新技術の積極活用、ビジネスモデル変革、組織文化の刷新など、抜本的なDXに取り組む先進企業と、それ以外の企業との間には大きな開きが生まれつつあります。

 さらに、同一企業内や個人間でもDXに対する意識や習熟度にばらつきが生じがちです。

経営陣が積極的にDXを推進しても、現場の理解や実行が追いつかないケースも多く見受けられます。このようなDXレベル差が組織内に存在すれば、トップから作業現場までの情報が統一されず、設計思想とは異なるモノ作りになってしまったり、デジタルリテラシーに長けた人材とそうでない人材の間で生産性格差が生じてしまい全社的な変革が停滞するリスクも高まります。

 そうした中で、抜本的なDXを実践する企業として注目されるのが、精密機器メーカーのトプコンです。今回は株式会社トプコンについて詳しく見ていきましょう。

株式会社トプコン

株式会社トプコンは、1932年に設立された老舗企業です。

株式会社トプコンはただの老舗企業ではありません。

測量、医療、半導体と、まったく異なる分野で最先端の技術を提供し続けているグローバル企業なのです。

創業から90年近くが経つ今もなお、トプコンのDNAに染み込んでいるのは、常にイノベーションを追求する情熱です。

世界80カ国以上で事業を展開し、建設現場から手術室、そして半導体工場に至るまで、トプコンの技術は欠かせない存在となっています。

高精度測量機器で社会インフラを支え、眼科検査機器で視力を守り、半導体製造装置で最先端の電子機器を生み出す。トプコンの多彩な製品は、私たちの暮らしを陰に陽にサポートしているのです。

しかし、トプコンは過去の成功に満足することなく、テクノロジーの最前線を行く挑戦者でもあります。

たゆまぬ努力を重ね、新たなイノベーションを生み出し続けることで、これからも世界中の人々の期待に応え続けていくことでしょう。

創業者の理念

株式会社トプコンの創業者は、東京物理学校(現在の東京理科大学)の教授であった阿部郎助氏です。

阿部氏は、1932年に東京醋酸曹達株式会社(のちのトプコン)を設立しました。

その狙いは、国内で初めて三角測量機を製造することでした。

当時の日本では、測量機器はほとんど全て輸入に頼らざるを得ませんでした。

阿部氏は、国産の測量機器を開発することで、日本の土木建設や産業の発展に貢献したいと考えていました。

創業当初から、阿部氏は日本の技術の自立を強く願っていました。

海外からの技術援助に頼らず、独自の技術力を磨き上げることを目指していたのです。

そのたゆまぬ努力が実り、トプコンは優れた国産測量機器の開発に成功しました。

この自立自尊の精神は、現在のトプコンの企業理念にも脈々と受け継がれています。

常に新しい技術の開拓に挑戦し、世界に伍して独自の価値を創造し続けること。それが創業者の願いであり、トプコンの原動力なのです。

株式会社トプコンのDX戦略

 株式会社トプコンは単なるDXを超えて、いわゆる「産業メタバース」の領域にも注目している。産業メタバースとは、バーチャルとリアルが融合した新たな空間で経済活動を行うことを指す。産業メタバースとは、バーチャルとリアルが融合した新たな空間で、製品開発や生産活動、販売などを行うことを指します

 同社が産業メタバースに取り組めるのは、3次元センシングと精密測量の技術があるからだ。3次元センシングで高精細な3次元形状データを取得し、精密測量で高精度な位置情報を得られる。

 この2つを組み合わせれば、リアル空間のデータをバーチャル空間に忠実に再現可能となる。

 つまり、トプコンはバーチャル空間とリアル空間を橋渡しできる強みを持つ。既に医療、農業、建設分野で3次元データを活用しているが、さらに産業メタバース領域へと事業を拡大する考えだ。2030年には国内で24兆円の産業メタバース関連市場が見込まれており、同社はその市場機会を重要視している。

出所:三菱総合研究所
 2030年代、メタバースの産業利用が社会課題を解決国内市場は約24兆円規模に 三菱総合研究所が研究成果を発表 | 三菱総合研究所(MRI)

 そこで株式会社トプコンは、「医・食・住」の3分野における社会課題の解決に向けて、DXソリューションの提供に注力しています。

経営理念として「『医・食・住』に関する社会的課題を解決し、豊かな社会づくりに貢献する」ことを掲げ、光学・センシング技術を核にデジタル技術を融合させ、多様なDXソリューションを展開しています。

DX取り組み紹介

ヘルスケア分野:

  • 眼科クリニックや眼鏡店、ドラッグストアなどでの店頭眼健診の仕組みを提供
  • AIによる自動診断結果を医師が確認する体制を構築
  • 遠隔での診断支援サービスも検討中

 これは眼科でも、眼鏡店でも、ドラッグストアでも、フルオート3D眼底撮影が行えるので、めちゃくちゃ便利ですよね。

自分の眼の状態を、立体的で高精細な3D画像で確認できるので、変化の有無がひと目でわかります。過去のデータと比較してAIが自動診断までしてくれるから、専門知識がある医師でなくても、自分の眼の健康状態を把握できそうですし。

異常がありそうなら、専門の眼科で再受診すれば治療へのアプローチもスムーズですし、めちゃ込みの眼下に行かなくいていいのはメリット大きそう。

農業分野:

  • 農機だけでなく、ドローンによる広域モニタリングシステムも開発中
  • 作物の生育データと気象データを統合した高度な生育予測モデルを構築
  • スマート農業の実現に向けて、農業データ連携プラットフォームも立ち上げ

 農地の広域モニタリングシステムが充実すれば、獣害対策が格段に進んで収穫ロスが減るでしょうし、害虫の発生状況もセンサーデータから予測できるようになれば、農薬を効率的に使えて環境負荷も下げられそうですね。

さらに、そのデータを消費者に公開すれば、生産工程の透明性が高まり、安心・安全な食料を買えるので、産地や生産者にも愛着が湧きそう!

建設分野:

  • 3次元デジタル測量データを活用した完全無人施工の実現を目指す
  • 現場とオフィス間でデータを連携し、遠隔監視・管理が可能に
  • 5Gなどを活用した次世代の建設DXにも取り組み中

 現場と設計オフィスとの情報の一元化が実現すれば、設計者の思想や意図がストレートに現場に伝わります。

そうすれば、イメージとは全く異なるモノ作りをせざるを得ないみたいなケースも減るはず。さらに自動制御できれば建設業界の人手不足にも貢献できそうですよね。

今までできなかったことが可能になる、新しい展開を考える

トプコンの3次元計測とデジタル技術の融合により、これまで実現が困難だった新しい取り組みが可能になると思います。

今後、もし実現してもらえたら嬉しい事例を考えてみました。

デジタル農業のială(イアラ)

農地の3Dデジタルツイン化と高精細センシングにより、スマート農業が現実のものとなります。ドローン・AIを活用した獣害・病害虫対策、可視化した生育データの消費者開示など、フードチェーンのイノベーションにつながるでしょう。

 ※ ială:デジタル技術を活用して農業の生産性を向上させ、持続可能な農業を推進すること

科学捜査の高度化

犯罪現場の3Dスキャンと事件再現シミュレーション、被害者の3D身体計測などが可能になると思います。バーチャル法廷での証拠分析など、科学捜査の新しい手法が生まれる可能性がある気がします。この分野ではまだ3D技術の本格的な活用が遅れていると思うので、トプコンのような先端的な計測技術を criminalisticsの分野に積極的に取り入れることで、捜査や裁判の高度化に期待したいですね。

宇宙開発の新たな挑戦

惑星探査や惑星探査、宇宙建設現場における高精度3D計測・測位技術の活用が期待できそうですよね。月面や火星などの3Dマッピング、ロボットアームの精密制御支援などに役立つと思うので、3次元データと精密測量の技術は、宇宙開発の様々な場面で大きな役割を果たしてくれるはず。

株式会社トプコンのDX戦略から学ぶこと

 株式会社トプコンのDX戦略は、単なるデジタルトランスフォーメーション(DX)を超えて、産業メタバースと呼ばれる新たな領域にも注目していることがわかりました。

同社は3次元センシングと精密測量の技術を駆使して、ヘルス分野や農業分野、建設分野でDXによる変革を起こしています。

  1. 産業メタバースへの注目:
    • トプコンは単なるDXを超えて、産業メタバースと呼ばれる新たな領域にも取り組んでいます。産業メタバースはバーチャルとリアルが融合した空間で経済活動を行うことを指します。
  2. 3次元センシングと精密測量の技術:
    • トプコンは3次元センシングと精密測量の技術を駆使して、リアル空間のデータをバーチャル空間に忠実に再現できる強みを持っています。
  3. 具体的なDX取り組み:
    • ヘルスケア分野: 眼健診の仕組みや遠隔診断支援サービスの提供
    • 農業分野: ドローンによる広域モニタリングや高度な生育予測モデルの構築
    • 建設分野: 3次元デジタル測量データを活用した完全無人施工や遠隔監視・管理
  4. 新たな展開の可能性:
    • トプコンの3次元計測とデジタル技術の融合により、デジタル農業や科学捜査、宇宙開発など、これまで実現が困難だった新しい取り組みが可能になると期待されています。

ベンチャー精神を学ぼう

 株式会社トプコンは「伝統あるベンチャー企業」として、DXによる「医・食・住」分野の変革を主導しています。

革新的なアプローチは、社会におけるさまざまな分野に革命をもたらす可能性を秘めています。デジタル農業や科学捜査の高度化、宇宙開発への支援など、これからの展開に期待が高まりますね。

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