DX事例シリーズ – 中外製薬株式会社のデジタルトランスフォーメーション(DX)

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ITテクニック

1. はじめに

 私はBtoBの製造メーカーで働いていますが、製造コストを意識するあまり、業務効率化のようなDX、価値創造までに行かないDXがメインになっていることに危機感を感じています。

現在、多くの企業がデジタルトランスフォーメーション(DX)に取り組む中、DXが進んでいるメーカーの取り組み事例やDX戦略を見ていると明らかなレベル差を感じます。

 他社のDX取り組み事例を学ぶことで、このレベル差が確かなものなのか、そしてこのままではどうにかしなければならない危機感を脱するためのヒントを得ることが必要です。

本来のDXの目的であるビジネスへの価値創出を見据え、業界のリーダーとしての一歩を踏み出したい思いもあり今回のDX事例シリーズを始めました。

 このブログでは、中外製薬株式会社のDX戦略を通して得られる示唆や学び、そして私たちの会社が取り組むべき方向性について考えてみたいと思います。

どのようなDX取り組みが価値の創出につながり、顧客満足度の向上や競争力強化に繋がるのか、そのポイントを探っていきましょう。

2. 中外製薬株式会社のDX戦略 

 中外製薬株式会社は、バイオ医薬品を含む革新的な新薬の創出を通じて、世界の医療と人々の健康に貢献しています。近年、製薬業界を取り巻く環境は激変しており、ディスラプション(創造的破壊)が起きています。

こうした変化を背景に、中外製薬は成長戦略「TOP I 2030」において、デジタルトランスフォーメーション(DX)を重要なキーと位置付けています。 

中外製薬は、「CHUGAI DIGITAL VISION 2030」を掲げ、次のビジョンを持っています。

「デジタル技術によって中外製薬株式会社のビジネスを革新し、社会を変えるヘルスケアソリューションを提供するトップイノベーターになる」

このビジョンを実現するため、中外製薬は以下の取り組みを進めています。

  • デジタルイノベーションの推進
    • Digital Innovation Lab (DIL)の活動は、社員のアイデアを具現化し、デジタルの観点から業務改善や新たな価値創造を推進しています。400件以上のアイデアが集まり、10件以上の本番開発を実現しています。
  • データ活用と人材育成
    • Chugai Digital Academyは、デジタル人材を体系的に育成する仕組みを構築しており、データサイエンティストを始め100名を超える人材育成に繋がっています。
  • デジタル基盤の強化
    • Chugai Scientific Infrastructure (CSI)は、全社データ利活用の推進を目的としたクラウド基盤で、大容量のデータを安全に利用、移動、保管しています。環境構築コストを1/11に削減し、構築期間の大幅短縮を実現しています。

3. 新薬創出と個別化医療への貢献

中外製薬は、デジタル技術を活用して新薬創出と個別化医療に取り組んでいます。具体的な取り組みとしては、以下のようなものが挙げられます。

  • 画像解析技術とデジタルパスオロジー
    • 細胞判定、薬理試験後の臓器選別、計測、判定での深層学習アルゴリズムの開発を進めています。これにより、病気の診断や治療法の選択に役立てられるような客観的な評価が可能になっています。
  • RWDの活用と個別化医療
    • 高品質なリアルワールドデータ(RWD)を利活用できる環境を共創し、一人ひとりの患者さんと疾患の深い理解を通じて個別化医療を実現する」ビジョンを掲げ、RWDの解析によって医薬品の承認申請に寄与し得るエビデンスの創出や、社内意思決定における根拠情報として活用しています。

     リアルワールドデータ(RWD)とは、日常の実臨床の中で得られる医療データの総称

4. 今までできなかったことが可能になる新しい展開

 中外製薬株式会社のDX戦略によって、これまでになかった新しい展開が可能になるように思いました。私は具体的には次のようなことを新たな価値創造、サービス提供していくのでは、想像しました。

  • 個別化医療の実現
    • 患者さん一人ひとりのデータを活用し、治療法や薬の適応を個別化することが可能になります。これにより、治療効果の最大化や副作用の最小化が実現できる。
  • 新薬創出の加速
    • AIやデータ解析の技術を活用することで、新しい薬剤の開発プロセスが効率化されます。これにより、治療が必要な患者さんに早く新しい治療法を提供することが可能となる。

5. 中外製薬株式会社のDX戦略から学ぶこと

 中外製薬株式会社のDX戦略を通じて、私たち日本の会社が学ぶべき重要な点があります。私はBtoBの製造メーカーに働いているので、今回の学びで得たアイデアをいくつか挙げてみます。

  • データ活用と分析の強化
    • 中外製薬がRWDを活用して個別化医療を実現するように、会社BtoBも顧客データやビジネスデータを活用し、顧客のニーズや行動パターンをより深く理解することが重要です。顧客のビジネスに関するデータを収集し、分析することで、ニーズの把握や提案の精度を高めることができます。さらに顧客のビジネスに関するデータから具体的なペルソナに描いて、思考や行動パターン毎のペルソナをターゲットとして、AIや機械学習を活用して顧客の傾向を予測し、カスタマイズされたサービスや製品を提供することができるのではないかと思いました。
  • 顧客エクスペリエンスの向上
    • 中外製薬が顧客中心のアプローチでDXを推進しているように、会社BtoBも顧客エクスペリエンスの向上に注力することが重要です。顧客がビジネスを行う際のストレスや障壁を取り除き、スムーズな取引やコミュニケーションを実現することで、顧客満足度を向上させることができます。例えば、顧客ポータルの構築やオンラインサポートの強化、自動化された注文プロセスの導入なども必要ではないかと考えました。まずは顧客との打ち合わせ議事録や会社HPに問い合わせメール、アンケート結果の集計から始めてみようと思いました。

6. まとめ

 中外製薬株式会社のDX戦略は、デジタル技術を活用した革新的な取り組みを展開しています。

私たちの会社も、業務効率化にとどまらず、ビジネスの本質的な価値創出に向けて積極的なステップを踏むことが必要です。

中外製薬株式会社の取り組みから学ぶことを活かし、私たちのDX戦略をさらに進化させていきましょう。

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